眼光の佳純

そうセカンドキョンキョンこと有村架純
の事ではない 卓球日本代表女子 石川佳純

その鋭い眼差しに心を奪われる
綺麗な一重 瞳には光が浮かんでいない
深く黒い 漆黒の闇だ
何を手にして 何を失えば あの眼に
辿り着くのだろう
試合中に優しい顔を見せる事がない 展開が悪いと 自分に大丈夫だと言い聞かせ少しだけ微笑む その瞬間でさえも ただひたすらに勝利への道をただひたすらに真っ直ぐ見つめている
彼女は深い闇を見ているのではない
深い闇の中から見つめているのだ
引き込まれそうだ いや 引き込まれる 美しい

彼女はアイドルではない勝負の世界に魅了されたプロアスリートだ だがその姿は美しい 見る者の心を
奪う 卓球台の上で舞う天使である
ハイライトは 両手を伸ばしまるで虹を描くかのようなフォアハンド 放たれた球はその優雅な舞いとは裏腹に 稲妻のように容赦なく相手コートに突き刺さり また空を突き抜ける
そして佳純は 小さく頷く 痺れる たまらない

そして試合も佳境に入った頃さらなるハイライトが訪れる 相手選手が決まったとばかりに残心を入れた 見ている我々もこれはポイントを奪われた そう思うほどの切れ味鋭いスマッシュを叩き込んできた
その刹那 佳純は眼を見開きカウンターフォアを繰り出すのだ 相手選手も観客も反応する事が出来ない 数秒あとに歓声の渦が沸き起こる
その歓声は例えるなら 波が引いて また打ち返す のではなく 凪ぎいた海で突然波がおこるようだ

そして幼い頃に見たジュディオングの舞がフラッシュバックするのだ
私の中でお眠りなさい と

出来る事なら 石川佳純 の笑った時も平行以上に上がる事のない薄い上唇の角度を近くで
自然に もう少しだけ上にあげて微笑む笑顔を見つめてみたい。